2015年4月17日金曜日

バニラ

Vanilla planifolia ラン科 バニラ属

バニラの花の寿命ははかなく、たった一日。
このバニラの甘い芳しい香りは、200種類以上もの芳香成分から成り立っており、その主成分となるのがバニリンである。
1858年、フランス人の化学者であり、薬物学者であるThéodore Nicolas Gobley(テオドール・ニコラ ゴブレ)が、この主成分であるバニリンを発見した。
バニラの品種は、現在、50種類以上もあり、Vanilla tahitenisis(タヒチ・バニラ)やVanilla pompoa(西インドバニラ)などがあるが、最も良品質なものは、Vanilla planifoliaである。
バニラは受粉に媒介者(ハチ)が必要であり、栽培する際には、人の手で受粉させる必要がある。
実が熟すには、およそ5~7カ月もかかる。

成分:ポリフェノール(抗酸化)、エッセンシャルオイル(鎮静)

【薬効】
消化管機能の改善、消化促進、殺菌、鎮静、強壮などの作用がある。

2015年4月10日金曜日

スペインカンゾウ(ヨーロッパカンゾウ)

Glycyrrhiza glabra マメ科 カンゾウ属

甘草の一種。ラテン名は、ギリシャ語に由来しており、glukosとriza、『甘い根』という意味。
古代ギリシャ時代、スポーツ選手達の間では強壮剤として有名であったと言われ、
古代エジプト人達は、ファラオ、王様の御墓に、この植物を手向けていた。
中国漢方においては、紀元前のある書物に、すでにこの植物の事が記載されている。
1世紀頃、古代ギリシャの医者であり、植物学者、薬理学者であったディオスコリデスは、傷を癒す癒創剤としての効果があると示していた。
アイルランドで有名なギネスビールやフランスのお酒、パスティスにもこのスペインカンゾウが用いられている。

左:乾燥した根   右:根から抽出した液で作られたキャンディ

成分:フラボノイド、エストロゲン、プロゲステロン、タンニンetc

【薬効】
鎮咳、鎮痙、去痰、利尿、強壮、弛緩、ホルモン性の作用がある。
又、胃痛や気管支炎、喉のイガイガを和らげる。
アーユルヴェーダにおいては、腸壁の毒素を除去しながら、腸内を洗浄する作用があるとして利用されている。

<外用>
膿瘍、ヘルペス、帯状疱疹に有効

根を茹でた黒い抽出液をリコリス菓子製造に利用している。
多くの緩下剤の基本成分でもあり、タバコ・ビール・ソフトドリンク・薬品・また消火器の発砲剤に利用されている。

≪注意≫
妊娠中、高血圧、腎臓疾患、ジゴキシン系の薬を飲んでる患者に使用してはいけない。
過剰摂取は、浮腫や血圧上昇を引き起こす。

2015年2月13日金曜日

パプリカ

Capsicum annuum   ナス科 トウガラシ属

パプリカはピーマンと近似するトウガラシの一種で、辛いものもあれば辛くないもののある。
ハンガリーでは、よく使われるスパイスで、16世紀にトルコから伝わった。
インドやアフリカでもよく利用されるスパイスである。


成分:ビタミンCが豊富、カロテノイド(殺菌作用)

【薬効】
殺菌、強壮、発汗促進などの効果がある。
トウガラシ類は、血液の循環を促進し、末端血流を増加させ、また消化管系機能を促進する。

2015年1月31日土曜日

サフラン

Crocus sativus アヤメ科サフラン属

サフラン1gに、およそ160もの花が必要とされる。
太陽が昇る前、花が開く前に、人の手によって1つ1つ収穫する。
サフランは、いつの時代でも大変高価なもの。
それは妖精達にとっても同じ。
アイルランド、ケルトの妖精達はこのサフランだけを好んでいたと言われ、フランス、ブルターニュ地方にまつわる妖精モーガンはサフラン入りのパンが大好きとある。北欧神話に出てくる水の妖精オンディーヌは、魚料理にこのサフランで欠かさず香りを付けていたとか。



成分:リボフラビン、ビタミンB2、エッセンシャルオイル(サフラナ-ル:香りの主成分であり、抗酸化・抗ガン作用がある。)

【薬効】
消化促進、循環器系統の刺激、血圧降下、月経の調整などの作用がある。
昔、サフランは気分を陽気にさせるものと思われていた。
現在、科学の分野において、サフランは気分を調整するものと位置づけられている。
感情の高ぶり、動揺、不安、心配などの感情面でのバランスを取る。
ストレスの溜まっている状態において、士気を高めたり、イライラなど怒り易くなる症状を50%改善・回復させ、鬱病においては、25%もの改善・回復が見られるとある。
中国漢方では、落ち込んだり、鬱症状などの心理面でのバランスを調整するものとされている。

今日、栄養補助食品にこのサフランが利用される事が増えて来ている。

≪注意≫
過剰摂取に注意!1日に10g以上摂取すると、意識を失い神経系統に障害を引き起こす事がある。サフランは、長持ちしないので、収穫後1年以内に使い切る。

2014年10月17日金曜日

クローブ(丁子)

Syzygium aromaticum フトモモ科・属

アジアにおいては、2000年以上前から知られており、
中国ではハン王朝の時代、皇帝に言葉をかける者は、
その前に、口臭を防ぐ為、このクローブを噛まなければならなかった。
ヨーロッパには、4世紀頃に導入され、中世には、コショウと同様に大量に持ち込まれた。
オランダ人によるインドシナでのクローブ栽培は、17世紀頃、約2世紀にも渡り長い間、独占されていた。また価格を高くする為に、収穫された一部を焼却していた。
クローブの木は、15m以上にまで達し、100年も生きると言われている。
7年目の木に、ようやくクローブの実を実らせる。

成分:エッセンシャルオイル(殺菌・鎮痙作用)、オイゲノール、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ビタミンC

【薬効】
鎮痛、吐き気・嘔吐抑制、消化管機能改善、腸内寄生虫予防、子宮を収縮させる、抗炎症作用、強い殺菌作用などの効用がある。
胃腸炎、腸内寄生虫、悪寒、頭痛などに有効。
アーユルベェーダにおいては、万能と言って良い程の体調のバランスを整える作用があると言われ、免疫力を高めると言われる。
中国では、主として、腎臓の強壮剤とみなされている。
中国漢方では、吐き気・嘔吐・しゃっくり・腹部の冷え・勃起不全に利用される。

外用:歯痛、虫刺されに

2014年5月17日土曜日

クミン

石器時代そして古代エジプト時代に、クミンが利用されていた痕跡が発見されている。
古代ローマ人にとっては、胡椒の代わりともなっていた。
中世ヨーロッパでは、クミンは、誠実なる愛をもたらすものと言われていた。

成分:カリウム(2gのクミンに対して、38mg)、カルシウム、リン、マグネシウム、鉄分etc

【薬効】
消化促進、肝臓機能促進、生殖器官の刺激作用等がある。
軽い胃腸の不調、又それによる偏頭痛の際等に。
オイルには、抗細菌、殺虫作用がある。

【利用法】
種子状のもの、そして粉末状のものがあり、利用の際に他のスパイス(ターメリック・カレー・クローブ・シナモン・カルダモン・コショウetc)とよく混ぜて用いられる。
肉料理・豆料理に用いることで、消化を良くしてくれる。

*我が家の定番、人参スープ*
ニンジン 7~8本   
タマネギ 大1個    
ジャガイモ 2~3個 
クミン  小さじ2杯
塩    適量 
コショウ 少々
ローリエ 1~2枚
油    少々
パセリ  少々

1:野菜を小さく切り、お鍋に油を入れ、タマネギ、ニンジン、ジャガイモと次々に加え、炒める。
2:野菜がある程度炒まったら、野菜が完全に浸る位に、お湯を加え、調味料・香辛料を加え、煮込む(沸騰後、弱火)。
3:45分~1時間程度煮込んだら、ミキサーでなめらかにする。お皿に盛り、パセリを散らし、召し上がれ♪

2014年4月11日金曜日

胡麻

Sesamum indicum ゴマ科 ゴマ属

胡麻は、種の栽培として初期に行われたものの一つ。
3600年前、古代メソポタミアで胡麻の栽培が行われていた形跡が残っており、
トルコでは、3000年以上も以前より、胡麻から抽出される油、胡麻油はよく知られていた。
中国では、少なくても5000年も前から、治療目的でこの胡麻が利用され、
古代ギリシャでは、戦士達に活力を与える為に供給されていたと言われている。
胡麻に含まれるカルシウムは吸収が良く、優れたエネルギー供給源である。

成分:蛋白質20%、脂質50%(その内不飽和脂肪酸が85%)、ビタミンA・B1・B2・B3・B5・B6・B9・E、ミネラル、微量元素(カルシウム、鉄分、リン等)等

【薬効】
滋養・強壮剤、病後の回復期、骨・歯の強化、乾燥した組織の湿潤、緩下剤。
腰・膝の痛みや弱りに効果もあり、皮膚・髪の状態を良くし、若ハゲや若白髪、咳、視力低下、目眩、耳鳴りにも良いとされる。
胡麻に含まれる成分の抗酸化作用が老化防止や心臓病にも良い効果を発揮してくれる。
含有成分であるレシチンは、脳の働きを良くし、記憶力を向上させる。

≪注意≫
胡麻アレルギーがある人は、使用を避ける。
また高カロリーなので、過剰摂取には気を付ける。