2010年3月29日月曜日

オドリコソウ

ある伝説的なギリシャ神話のお話。
ゼウス神は、ラミアという女性をその美貌より、愛してしまう。そして子供をもうける。
ゼウス神の妻であるヘラは、その二人に出来た子供を殺してしまう・・・
ラミアは狂気にさいなまれ、子供を食う”人食い鬼”と化してしまう。。
ギリシャ神話に夢中であった植物学者達が、この花をその花の形から、この名前(学名)をつける。
形態学上、花の形が、大きく開いた口を連想させることから、”人食い鬼の口”と。

オドリコソウ
Lamium album L.

語源:ギリシャ神話より。 Lamia: 伝説上の人食い鬼。
   ラテン語。       album: 白 

【薬効】
収斂性・消化促進・血管収縮作用などの効果がある。
月経過多・月経困難症・分娩後の出血・膣のおりもの・前立腺炎に有効。
また、フケ防止の効果があり、化粧品として、シャンプーに1つの成分として含まれる。

【利用法】 花
〈お茶〉この花のハーブティは、消化器系のトラブル(鼓腸・下痢・胃腸内の鼓腸など)に効く。

≪注意≫
妊婦・授乳中の女性・幼児は使用を避ける。


   

2010年3月26日金曜日

三色すみれ


春の訪れを知らせる花の1つ。
昔、人々は、この花を聖なる花と見なしていた。

イスラム教の諺にスミレを例えたものがある。
「スミレの素晴らしさは、全ての宗教に勝るイスラム教の教えの素晴らしさに匹敵する。」と。


三色すみれ
Viola tricolor L.             
俗名:ワイルドパンジー

語源:ラテン語。   viola: すみれ , tricolor: 三色の

【薬効】
浄化作用・利尿作用・緩化作用・消炎作用・解熱・解毒・去痰・鎮痛・治癒促進などの効果がある。
排泄機能を刺激し、体内の毒素・排泄物の排出を促進する。
顔色を良くさせ、ニキビ・湿疹・脂漏を減少させる。
便秘時には、緩化剤として効く。

また、気管支炎・百日咳・リューマチ・皮膚疾患・泌尿器疾患・自己免疫疾患などにも有効。

外用として、皮膚疾患・静脈瘤潰瘍に効く。

【利用法】
コップ1杯に対し、スプーン1杯の三色すみれ(植物全体を利用できる)を、10分煎じる。
その後、スミレを取り出し、ハチミツで味を調節。1日3杯。

≪注意≫
妊婦・授乳中の女性・幼児は使用を避ける。
服用後、尿にひどい臭いがする時がある。

2010年3月23日火曜日

なずな

食用として古くから利用されている。
BC59~50年にまで遡るチャタル・ヒュユク遺跡(現在のトルコ共和国)から発見されている。

第1次世界大戦時、薬の供給に欠いている時、医療チームはナズナの止血作用の効果を再認識したという。

なずな
Capsella bursa-pastoris L.         俗名:ぺんぺん草、羊飼いの財布

語源:ラテン語。  capsula: さく果 , bursa-pastoris: 羊飼いの財布
ナズナの実は、ハートの形をした羊飼いの皮でできた昔のカバンを連想させる。

【薬効】
収斂作用・止血作用・利尿作用などの効果がある。
かつては、血友病患者への治療薬とされていた。
歯ぐきの出血にも有効で、また、月経過多・内痔核・鼻血・外傷などにも有効。

中国漢方では、高血圧・産後の出血にも利用する。

【利用法】
〈料理〉ビタミンA・B・Cを多く含みむ葉は、サラダに☆

〈ワイン〉地上部の部分:200g
     白ワイン:1L
8日間、白ワインの中にナズナを浸しおき、その後、ナズナを取り出し、ビンにつめる。
血液の流出を調節するために、毎時間スプーン1杯。

〈治癒薬〉ナズナを煎じた煎薬は、傷の癒着を促す。

≪注意≫
妊婦・授乳中の女性・幼児は使用を避ける。

2010年3月19日金曜日

すぎな

スギナの灰は、木や銅・スズを磨く研磨剤として利用される。
これはスギナに研磨剤となるシリカが多く含まれていることによる。
スギナはトクサ属の1種で、トクサ属の中に金を含む組織がある種類があり、金を追い求める探鉱者は、これを目印にしたと言う。

すぎな
Equisetum arvense L.

語源:ラテン語。  equus: 馬 , seta: 絹・絹糸 , arvense: 畑・耕地
   スギナの茎は形態学からすると、馬の尾(しっぽ)を連想させる。

【薬効】
収斂性・利尿性・止血性・傷の癒着を促すなどの効果がある。
関節の病気(リューマチなど)の際、軟骨の回復(復元)を促進し、結合組織・骨組織の回復を活発にする。
骨折や骨粗鬆症の際の、骨の補強・強化を助ける。
また、皮膚の老化(しわなど)を遅らる効果や抜け毛・がさがさした爪などにも有効。

泌尿生殖器系に効果も持ち、前立腺・失禁・膀胱炎・尿道炎などの場合に服用する。
*ただし、刺激が強いため、これを緩和する他の植物と合わせ、短期間の使用にとどめる。

≪注意≫
ニコチンを含有することから、妊婦・授乳中の女性・幼児の使用は避ける。

2010年3月15日月曜日

西洋たんぽぽ


スウェーデンの植物学者カール・リンネ(1707~78)は、西洋たんぽぽのことを、
”遅くに起床し、早くに就寝する植物の時計”と言っている。
頭状花序の花を9時頃に開き、18時頃には閉じる。
花は、日のよく当たった頃に花を開かせ、雨の時には花を閉じる。

フランス語で、Pissenlit(ピサンリ)と呼ぶ。
"pisser dans le lit" の略で、ベッドの中でおしっこをする、という意味。
これは、とても強い利尿作用を持つことから来ている。

西洋たんぽぽ
Taraxacum officinale Weber          俗名:ダンデライオン

語源: taraxacum は、ギリシャ語から。taraxis: 目の病気 , akeomai: 治す
    ラテン語より、officinale: 薬効のある植物。

【薬効】
胆汁の分泌&排泄の促進・浄化作用・利尿作用・健胃作用がある。
食欲不振や胃もたれ・便秘・腸機能の低下などに有効。
春の治療の薬草として、優れた体内の浄化作用(デトックス効果)がある薬草の1つ。
ニキビ・水腫症・せつといった原因となる毒素の排出を促す。

外用では、ヘビの咬まれ傷に利用。

中国漢方では、乳房・肺の腫瘍・乳腺炎・膿瘍・黄疸・肝炎・尿路感染に利用されている。

【利用法】
〈お茶〉コップ1杯に対し、スプーン1杯の根を5分煮る。その後、根を取り出して、食前にどうぞ。1日3回。

〈料理〉若い葉や花はサラダに。葉は、ほうれん草のように料理をしたり。

2010年3月12日金曜日

キバノクリンザクラ

春を告げる花々の1つであるキバノクリンザクラ。
プリムローズ(Primula vulgalis)と共に、古くから薬用に利用されている。
痙攣・急な腹痛・麻痺・リューマチ痛に効くとして用いられてきた。
「花とナツメグを混ぜたものは全ての頭の病いに効く。」17世紀の薬剤師ニコラス・カルペパー。

キバノクリンザクラ
Primula veris L.

語源:ラテン語。 primulus: 初め , veris: 春の

【薬効】
花(萼なし)と根っこは、鎮痙・鎮静・去痰・消炎作用などの効果がある。
気管支炎・から咳・百日咳・関節炎・不眠・頭痛・情動不安(小児)等に、有効。

外用として、顔面神経痛・関節炎・偏頭痛・日焼け・しみ・そばかす・しわなどに。
また、花のオイルは、打撲傷・捻挫に効く。

【利用法】
〈お茶〉花:スプーン1杯の花をコップ1杯の熱湯に10分。
      その後、花を取り出し、ハチミツで味を調節。食後に1杯。
    
    根:ティースプーン1杯の根を、コップ1杯の湯で2分煮る。
      火を止め、さらに10分おく。その後、根を取り出し、ハチミツで味を調節。

〈料理〉生の花をサラダやジャム・砂糖づけなどに。
    葉は、温野菜にどうぞ。

≪注意≫
妊婦・授乳中の女性・幼児、また、抗凝血剤を服用している人・アスピリンにアレルギーのある人は使用禁止。
又、過剰摂取は、嘔吐・目眩を引き起こす可能性がある。

     

2010年3月8日月曜日

アメリカマンサク (ウィッチヘーゼル、ヴァージニアハマメリス)

アメリカインディアンは、このハマメリスの木で魔術のステッキ(棒)を作っていたと言う。
モホーク族は、眼のケガの洗浄剤として、樹皮を浸した水を利用していた。
アメリカインディアンの部族の間では、ハマメリスの薬効はよく知られており、この事が後に、入植者に伝わり、米国薬局法・米国国定処方書に受け継がれた。

アメリカマンサク
Hamamelis virginiana L.      俗名:魔法使いのハシバミの木

語源:ラテン語。 hamatus: 掛け釘、フック,  melimelum: 甘いリンゴ
            virginiana:アメリカヴァージニア州


【薬効】
収斂性・血管収縮性・止血性効果などがある。
毛細血管を守り、強化し、抵抗力を増させる。こうしたことで、静脈の機能不全のトラブル(足のだるさ・痔・静脈瘤など)を緩和させる。

内服として、下痢・赤痢・内痔核・膣のおり物・月経過多・胃または肺の出血などに有効。
外用として、静脈瘤・捻挫・打撲・火傷・内痔核・乳首の痛み・筋肉痛・眼と喉の痛みに有効。

【利用法】
〈お茶〉コップ1杯に、ティースプーン1杯の葉を2分煮る。その後、葉を取り出し、ハチミツで味を調節する。1日に2杯。

〈化粧水〉化粧用品にも用いられており、赤ら顔を和らげ、開いた毛穴を引き締める効果がある。

≪注意≫
過剰摂取は頭痛を引き起こす可能性がある。
又、消化不良の症状を訴える人もある。

2010年3月5日金曜日

ニオイすみれ

花言葉は『愛』。
古代ローマの人々は、ニオイすみれ風味のワインを飲んでいたといわれる。
キリスト教の人々にとっては、「悲しみの花」。
イエス・キリストが十字架に架けられた、その影がこの花に写ったことからと。。。

ナポレオン1世は、この花を大変好み、妻のジョセフィーヌに贈り続けた。
ニオイすみれは、花としても、香水としても、また砂糖菓子としても人々を喜ばせることより、
フランスのトゥールーズでは、毎年ニオイすみれの花の伝統的なお祭りが行われる。

ニオイすみれ
Viola odorata L.                       

語源:ラテン語。 
viola: スミレ,   odorata: 芳香を放つ

【薬効】
呼吸器疾患に効く代表的な薬草7つの内の1つ。
気管支炎・カゼ・咳・喘息などに有効。
他、炎症を和らげたり、痰の排出を良くし、発汗を促す作用、抗ガン作用がある。
芳香による心理的効果としては、神経疲労・興奮を和らげる。
また吐き気を催す作用もあり、この事は、昔、ニオイすみれの根を煎じ、食中毒の場合に勧められた。

【利用法】
〈シロップ〉1Lの熱湯に100gの花を加え、一晩寝かせる。
   その後、花を取り出し、1kgの砂糖を加え、シロップ状になるまで湯煎で煮詰める。
   1日に3~4杯、このシロップを。

〈料理〉生の花を、そのままサラダやデザートに。

〈湿布〉痛風:お酢につけた茹でた葉を患部にあてる。
    打撲:生の葉をそのまま患部に。

〈美容〉沸騰した牛乳250ccに葉をひとつかみ加え、2~3分浸出させる。

〈洗浄液〉花の浸出液は目の洗浄、うがい薬として口内の洗浄に。

2010年3月2日火曜日

ニンニク

中世ヨーロッパのある諺に、「悪いものを追い払いたければ、ニンニクを植えよ。」というものがある。
ニンニクは、その匂いにより、古くから良い意味にも悪い意味にも解釈されてきた。
とても古い歴史を持つハーブの1つで、ツタンカーメンのお墓からも発見されたと言われる。

ニンニク
Allium sativum L.       俗名:貧しい人々の薬

語源:ラテン語。  Allium: ニンニク, sativum: ラテン語 sativusー耕作された、より。

【薬効】
抗ウイルス・抗バクテリア、血流を良くする、心臓のリズムを正常化する強心作用、血糖値・血圧・コレステロールを下げるなどの効果。
真の万能薬として知られ、風邪・インフルエンザ・気管支炎・百日咳・胃腸炎・赤痢、また細菌感染予防としても有効。
外用では、ニキビ・ウオノメ・肌荒れ等にも利用。

近年では、糖尿病の糖(グルコース)の代謝を下げ、動脈硬化の悪化を遅らせ、心筋梗塞患者の心臓発作の危険度を下げることが確認されている。

【利用法】
多くの肉・魚料理、又、野菜料理にも広く利用される。

〈コンパニオンプランツ:共に植えると相性の良い植物〉
     ニンニクとバラ:バラの香りを良くし、黒点病を防ぐ。
     ニンニクとキュウリ:つる割れ病を防ぐ。
     ニンニクとナス・トマト:青枯病・立ち枯れ病を防ぐ。
    
    桃やりんごの木とも相性が良い!
    ニンニク自体にアブラムシを防ぐ効果がある。

〈病害虫予防スプレー〉ニンニク入り木酢液
   木酢液1Lに、ニンニクすりおろし200gを3~6カ月漬ける。
病害虫:ウドンコ病・べと病・サビ病・炭そ病・黒星病・輪もん病・アブラムシ・ハダニ・マメコガネに効く。
  
≪注意≫
胃炎に苦しむ人は利用をさける。
糖尿病で薬を服用している人は、薬との相互作用の点で、医師の助言必要。
妊婦・授乳中の女性・幼児、使用注意。
過度の摂取は、胃を痛め、尿道の炎症を引き起こす。