2010年5月29日土曜日

ニガヨモギ

19世紀ヨーロッパで、このニガヨモギを使った食前酒アブサンスが、このお酒の持つ催淫性・幻覚性の効果のため、強い刺激を求める愛好家達の間で大流行する。
しかし、その後1908年にスイス、1915年にはフランス、そして多くの国で、このニガヨモギに含まれるツヨンという成分により使用が禁止される。
ツヨンは、毒性を持ち、過剰摂取また依存すると、人格障害となるアルコール中毒症の昏睡や元に戻せない機能障害を引き起こす。

ニガヨモギ           ヨモギ属キク科
Artemisia absinthium L.

語源:Artemisia: ギリシャ神話の狩猟の女神アルテミスより。
   ギリシャ語。 absinthium→ a: 奪い取る・排他的 , psinthion: 苦味により甘みを欠いた

【薬効】
消化促進・胆汁の排出促進・月経促進・駆虫薬(腸内寄生虫駆除)などの効果がある。
また、流産を引き起こすものとして知られていた。
胃腸の働きを強めるので、食欲不振に、そして胆嚢の疾患・回虫に、少量を短期間の使用にとどめる。
外用として、打撲・咬傷に。また止血に葉を丸め鼻につめると良い。

また、防虫剤として、乾燥葉をサシェにしてタンスなどに。
虫除けハーブとして、他にラベンダー・コリアンダー(種)を軽くすりつぶしたものと、タンジーを加えても◎。

≪注意≫
妊婦・授乳中の女性・幼児・心配性の人・怒りっぽい人などは使用避ける。
また鉄分・鉛・亜鉛との服用は避ける。
8日以上の使用は、消化器系の炎症、またアブサンス酒のような有害な効果を引き起こす。

2010年5月26日水曜日

チャノキ

お茶は、抗酸化作用を持つポリフェノールを含み、心臓疾患・卒中・ガン予防などに効果がある。
また、タンニンを10~24%含み、これが食道ガンの原因になると言われる。
ミルクを加えることでタンニンが中和され、危険性を回避できる。

チャノキCamellia sinensis L.  ツバキ属・科

語源:ラテン語。  camellia: ツバキ , sinensis: 中国原産

【薬効】
痩身・利尿・強壮などの効果がある。
皮下脂肪(贅肉)・過度な体重増加・水腫症などに有効。
下痢・赤痢・肝炎・胃腸炎、また肉体的・精神的・知的な疲労・無力症などの場合にも効く。

外用として、眼のただれ・軽い傷・虫刺されに。

≪注意≫
気分の落ち込みやすい人(うつ病の人)・妊婦・授乳中の女性・幼児・高血圧の人・神経質の人・不眠症の人はカフェインにより使用避ける。
また、お茶を飲用することで、習慣性・耐性ができ、過度の摂取を引き起こすことがある。

2010年5月20日木曜日

西洋トチノキ(マロニエ)

原産地は、バルカン半島。より正確にはトルコ。
中世の騎士志願者が、17世紀の初めにコンスタンチノープルからフランスにもたらしたと言われる。

西洋トチノキAesculus hippocastanum L.              トチノキ属・科

語源:ラテン語。 
aesculus: 神々の王で天界の最高神であるジュピターに捧げられた食用どんぐりのコナラの木。 hippos: 馬 

【薬効】
解熱・血管収縮作用・静脈の強壮などの効果がある。
この木の皮は、痔や静脈瘤などの場合に、毛細血管の耐性を高め、その浸透性を減少させる。
動脈硬化・卒中・心臓発作・循環器系機能低下・静脈炎などにも効く。

≪注意≫
妊婦・授乳中の女性・幼児、また、腎臓に疾患のある人は使用避ける。
過剰摂取は、不安・頭痛・半睡状態での精神の錯乱などを引き起こす可能性がある。
また、消化吸収する際に、胃腸のトラブル・吐き気・腹痛・下痢を引き起こす可能性もある。
この木の実は、有毒である。

2010年5月18日火曜日

コンフリー

かつて、負傷した兵士の傷を癒すのに、このコンフリーの根が使われていた。
コンフリーには、アラトインとピロリジンというアルカロイド類が含まれており、
アラトインは、細胞の再生を活性化する働きがあり、化粧用クリーム・傷薬のクリームなどに利用されている。

アルカロイド類は、肝臓障害と腫瘍を引き起こすため、内服は避ける。

コンフリー              ヒレハリソウ属 ムラサキ科
Symphytum officinale L.        俗名:傷のハーブ 、ロバの耳

語源:ギリシャ語。 symphy: 結合する 
   ラテン語。  officinale: 薬用の

【薬用】
抗炎症・傷の治癒・細胞組織の修復などの効果がある。
肌のトラブルである、できもの・せつ・あかぎれ・乾癬・湿疹・ただれ、また、やけど・ちょっとした傷・捻挫・すじ違い・腱炎・静脈瘤・静脈瘤潰瘍・関節炎・内痔核・骨折・授乳中の乳房痛などに効く。

≪注意≫
アルカロイドを含有しているため、内服は禁止。

2010年5月14日金曜日

クロフサスグリ(ブラックカラント)

18~19世紀、イギリスでは茶の代用品として、このクロフサスグリの葉を使っていた。
葉にはタンニン、実はビタミンCを豊富に含んでいる。
喉の重度な炎症である扁桃膿瘍(クインシー)の治療に利用されていた事から、英名ではクインシーベリーと呼ばれる。

クロフサスグリ    スグリ属 ユキノシタ科
Ribes nigrum L.

語源:デンマーク語。 ribs: スグリの木
   ラテン語。   nigrum: 黒

【薬効】
抗炎症・抗壊血病・収斂作用・利尿・末梢血管強化・細菌感染除去作用などの効果がある。
葉は、痛風やリューマチなどの場合に、関節の痛みを和らげる。
また、風邪・口内そして喉の感染症にも有効。

クロフサスグリのジュースは、オレンジジュースの3倍のビタミンCを含む。
果実の種から採れるオイルは、オメガ3・6を豊富に含み、乾燥肌に水分を与える。

【利用法】
〈お茶〉~慢性のリューマチに効くお茶~
クロフサスグリの葉100g、西洋トネリコの葉50g、西洋夏雪草50gを混ぜ合わせたもののスプーン1杯をカップ1杯の熱湯で10分浸しおく。その後、葉を取り出し、1日に3~4杯頂く。

〈料理〉実と実のエキスは、デザートやジャム・ゼリー・飲み物・リキュール等に。

≪注意≫
葉にタンニンを含有していることから、妊婦は使用避ける。

2010年5月11日火曜日

ペパーミント


花言葉は、”美徳”。
豊富に揮発性オイルを含んでいるミント類。
その代表的なものがメントール。これがミントの香りを特徴づけている。
この成分は、冷却性でもあり、同時に加温性でもある。
ミントの種類の中で、このペパーミントに際立って含まれている。

ペパーミント        ハッカ属 シソ科
Mentha x piperita L.


語源:ラテン語。 Mentha: ギリシャ神話の水の精メンテーより , piper: こしょう
            x:交配種を示す。
ペパーミントはウォーターミント(Mentha aquatica) とスペアミント(Mentha spicata)の交配種。 

【薬効】
鎮痙・消化機能促進・腸内ガスの排出促進・発汗促進・穏やかな麻酔作用、そして爽快な気分にさせてくれるなどの効果がある。
胃潰瘍・胃腸炎・過敏性腸症候群・疝痛・熱のあるインフルエンザ・風邪などに有効。
また、二日酔いによる吐き気や乗り物酔いにも効く。

外用として、副鼻腔炎・カタル・喘息・皮膚のかゆみ・火傷・白癬・神経痛・リューマチ、そして虫除けに。
*過剰摂取は粘膜に炎症を起こす。幼児には、どのような形でも与えてはいけない。

【利用法】
〈お茶〉カップ1杯にスプーン1杯の葉を、熱湯に10分浸しおく。
    その後、葉を取り出して飲む。1日に2・3杯。

〈ホットミントミルクティー〉牛乳200ccに刻んだ葉を大さじ1。安眠剤に。

〈料理〉冷たい飲み物・サラダに。

〈ポプリ〉乾燥葉はポプリとして利用。
     また、サシェに入れ、虫除けとしてタンスにどうぞ。

〈虫除け〉数枚の葉を枕の下に入れると、虫除けとなり、また安眠効果も。

〈化粧水〉1Lのお湯に15gの花と葉を15分浸したものを、化粧水として。
      毛穴を収縮させ、皮膚組織を引き締める効果がる。

≪注意≫
エッセンシャルオイルは、妊婦・授乳中の女性・7歳以下の幼児・また癲癇患者は、使用を避ける。


 

2010年5月7日金曜日

レモンバーム

”脳の特効薬”と言われ、脳の働きや記憶力を高め、憂鬱な気分を払ってくれるハーブ。
レモンバームのハーブティーは、長生きのハーブティーとしても知られる。

中世では、寝る前に、このハーブティをハチミツで味付けし、よく飲まれていたと言う。

レモンバーム        俗名:フランスのお茶
Melissa officinalis L.           セイヨウハッカ属 シソ科

語源:ギリシャ語。 Melissa: みつばち

【薬効】
消化促進・鎮痙・鎮静・発汗・強壮、また腸内ガスの貯留の排出を促進する効果がある。
風邪・頭痛・不眠・呑気症・消化不良・吐き気などに効く。
鎮静・鎮痙効果により、心配症・神経的発作(ヒステリー)・激情的に泣くような身心状態・過労・過剰な興奮などの場合に、神経組織を強化してくれる。

また、ヘルペスのウイルスに効く抗ウイルスの作用を持つ。

【利用法】
〈料理〉生の葉は、サラダ・スープ・ソース・ハーブ酢・ドレッシング・オムレツ・鶏や魚料理に。
また、冷たいお菓子や飲み物にも利用され、ゼリー・ジャム・プディング・ババロア・フルーツパンチにも、どうぞ。
お手軽に、ヨーグルトやオレンジジュースにも浮かべてどうぞ。

〈蜂刺され〉ミツバチやスズメバチに刺された時に、針を取り除いた後に、レモンンバームの新鮮な葉をもんで傷口に。

〈美容〉乾燥肌をしっとりさせ、シワの予防に。
    1Lのお湯に、葉を芽10gを浸す。それを漉したものを冷やし利用。

〈お風呂〉葉を湯船に浮かべて、身心をリラックス。肌をなめらかにしてくれる。

〈リンス〉葉の浸出液は、油っぽい髪用のリンスに。しっとり効果。

≪注意≫
妊婦・授乳中の女性・幼児、また甲状腺機能の不全の人は使用避ける。

2010年5月4日火曜日

桜桃の木(セイヨウミザクラ、スミミザクラ)

Prunus の仲間には、梅を初め、桃・アプリコット・プルーン・アーモンドなどがあり、薬用として鎮咳・緩化剤・利尿・下剤・解熱・発汗促進などに、古くから利用されている。

サクランボの蒸留酒として知られるキッシュは、Prunus avium L. 小粒で甘い黒い野生の桜桃から作られる。

桜桃の木    サクラ属 バラ科
Prunus cerasus L. (Cerasus vulgaris L.)

語源:ラテン語。 prunus: スモモの木 , cerasus: セラスス 又は セラソントという桜桃の木を持ち帰った古代ローマの将軍の名より


【薬効】
利尿・緩化剤・泌尿器系の鎮静などの効果がある。
サクランボの花柄の部分は、痛風・水腫症そして尿管結石症などの症状に、
浄化剤・利尿剤として効く。
サクランボの実は、便秘の時に、緩化剤として有効。

【利用法】
〈お茶〉利用前に花柄を12時間、水の中に浸しておく。
    その後、その花柄を取り出し、スプーン1杯の花柄に対して1/4Lの水で5分間煮る。
    その後、火を止め、そのまま10分置き、花柄を取り出す。1日に3杯。食間に。

≪注意≫
花柄は、妊婦・授乳中の女性・幼児は使用を避ける。