2013年11月29日金曜日

辛子

Brassica alba, juncea, nigra アブラナ科・属

古代から、辛子は香辛料・野菜・薬用にと利用されてきた。
ヨーロッパで、香辛料として利用され始めたのは、BC400年代。
最初に薬用として利用された記録としては、中国のAD659年に遡る。

辛子の品種は40種以上ある中で、主に3種類のものが利用されている。
白辛子、黄辛子、黒辛子である。


成分:蛋白質、炭水化物、繊維、ビタミンC、セレニウム、抗酸化物質

                                         黒辛子


【薬効】
食欲増進、消化促進、消毒作用、緩化作用、抗細菌作用などがある。
外用では、風邪や気管支炎の際に、湿布として利用する。症状を和らげる。
現在では抗ウィルス・抗ガン作用に関する研究が進んでいる。

2013年11月15日金曜日

唐辛子

Capsicum frutescens ナス科 トウガラシ属

起源は、南アメリカ。
アズテク人は、料理に唐辛子を利用し、チョコレートソースに加えたりし、
インカでは、神への捧げ物や、儀式、又、お墓の装飾に利用していた。
コロンブスは、唐辛子を1526年にスペインにもたらし、一気に世に広まることとなった。
ピリッとする刺激成分は、アルカノイドの一種カプサイシンによるもので、
この成分は、ある一つの遺伝子の有無で決まり、その遺伝子がないものは甘い種となる。


成分:カプサイシン(アルカロイド)、ビタミンA・C、脂質、カロテノイド(抗酸化作用)

【薬効】
血液の循環、消化機能、新陳代謝、発汗を促進し、殺菌効果、感染症の際にも効果がある。
冷え性の場合、体を温めたり、便秘の際にも有効である。
脂肪を燃焼させる作用もあり、痩身効果もある。
最近の研究により、カプサイシンには、抗ガン作用があるとされる。

≪注意≫
粘膜との接触には気を付ける。特に目には注意。痒みを引き起こす。
料理で利用する際にも、触った後は、石鹸でよく手を洗い、注意する。
人によっては、手をヒリヒリさせて、炎症を引き起こす事がある。
潰瘍のある方は、利用を避けた方が良い。

2013年11月9日土曜日

胡椒(こしょう)

Piper nigrum  コショウ科 コショウ属

胡椒の実は、実が熟していくに従って、緑から赤そして黒へと色が変化する。
現在では、世界に700種以上ものコショウ科の植物が生息している。

胡椒は、かつて金の様な価値を持っていた。
古代ローマ人にとって、胡椒は豊かさの象徴。
中世においては、胡椒をどれ位所持しているかによって、裕福さが量られていた。
ヨーロッパ諸国・アラブ諸国においては、胡椒は商業都市を大きく発展させる一因となった。
現在、全スパイスにおける取引の内、四分の一が、この胡椒である。


成分:辛味成分であるピペリン、細胞の老化を防ぐアルカロイド、カリウム他

【薬効】
血液の循環を促進、消化管機能の改善、解熱、脂肪の排出を助ける等の働きがある。
アーユルベーダ医学では、強壮・抗細菌・消化器官を洗浄する働きがあり、又、痰の排出を促進すると言われる。
中国漢方では、鎮静・胃の冷え・食中毒(肉・魚・カニ・茸)・コレラ・冷えによる下痢・嘔吐を抑制する作用があるとされる。

≪注意≫
辛味成分でありピペリンは、胃の粘膜に軽い炎症を引き起こすことがある。

2013年11月2日土曜日

カカオ

Theobroma cacao  アオギリ科 カカオ属

発酵させて乾燥し、炒ったカカオの種子から、ココアバターとココア粉が採取できる。
古代マヤでは、すでにカカオを栽培し、飲料や食物として多く消費し、
又、交換通貨としても用いられていたと言われている。

現在に至っては、医者や栄養士といった人々が、
チョコレート(出来れば有機栽培のブラックチョコレート)を
適度に摂取することは大変体に良いと推奨している。

チョコレートには、脳内ホルモンの一つであるセロトニンの前駆物質が含まれている。
セロトニンは、リラックスや睡眠を促すといった作用がある。

成分:マグネシウム、セロトニンの前駆物質、脂質、
そして、各種ミネラル(鉛・セレニウム・銅・マンガン)、ビタミンC・Eを含有。

【薬効】
ストレスや疲労回復、不安・心配性そして、感染症に対しての効果がある。
又、血圧降下、冠動脈拡張作用、利尿、抗酸化作用がある。
含有されるポリフェノールによる抗酸化作用においては、
緑茶や赤ワインよりも優れている。

外用:肌荒れや火傷にココアバターを。

≪注意≫
過敏性腸症候群の方は、摂取しない方が良い。
又、チョコレートは、人によってアレルギーや偏頭痛を引き起こす事がある。

2013年6月16日日曜日

キャラウェイ(ヒメウイキョウ)

Carum carvi      セリ科 キャラウェイ属

ヨーロッパにおいて、利用されているスパイスの中で最も古い起源を持つスパイス。
イギリスのエリザベス女王1世は、このキャラウェイを好んでいたと言う。
又、シェイクスピアは、度々、このスパイスを彼の作品の中で書き記している。
今日では、ユダヤ料理によく利用され、パンやスープに独特な風味を与えている。


成分:蛋白質、カリウム、カルシウム、リン、エッセンシャルオイル

【薬効】
鎮痙・消化促進・強壮・去痰作用などがある。
消化不良、腸内ガス、呑気症、胃潰瘍、疝痛(特に小児)、下痢、月経痛、気管支炎等に。

【利用法】種子・葉・根・オイル
(料理)葉:サラダやスープに。
根:茹でて、野菜として利用する。
種子:ケーキ・パン・クッキー・チーズ・ピクルス・リキュール等に。

(口臭予防)種子を噛む。

2013年5月31日金曜日

アニススター

Illicium verum モクレン科・シキミ属
語源:Illicium  誘惑(芳香より)、verum 真の

アジアからヨーロッパまで渡り、その薬効と味によって、よく知られる様になる。
マルコポーロは、このアニススターがとても高価な香辛料であった為、この香辛料の原産国を秘密にしていたと云う。
ヨーロッパでは、甘い飲み物やアルコール類など多くの飲料物に風味を豊かにする為に利用されている。
その中に、アブサン酒やパスティスなどがある。


成分:エッセンシャルオイル(アネトール、モノテルペン)・タンニン・炭水化物・アルブミン(蛋白質の一種)・樹脂

【薬効】
消化促進・鎮痙・緩化作用・抗真菌・抗細菌作用がある。
気管支系疾患(副鼻腔炎・季節の変わり目に起こる症状等)・消化器官(鼓腸・腸痙攣等)・中枢神経系統(疲れ・病後の回復期等)・腹痛・冷えによる症状(腰痛等)・不安・うつ症状等々の際に。

【利用法】
(お茶)タイムとシナモンを加えたお茶は、咳を鎮め、又消化不良による胃痛を和らげてくれる。

(料理)カレー・コーヒー・菓子類・リキュール・ピクルスの味付け等に。

*過剰摂取は神経系統に害を及ぼすことがある。

2013年3月23日土曜日

カルダモン

Elettaria cardamomum Matton ショウガ科 ショウズク属

AD720年頃、中国で初めて薬用植物として名があがる。
インド・中国では古くから利用されている。
アーユルヴェーダでは、カルダモンは ela として知られる。
中東では、コーヒーに、このカルダモンを入れて飲用されている。


成分:エッセンシャルオル、カリウム、カルシウム、鉄分、亜鉛

【薬効】
消化促進・鎮痙・緩化作用・去痰・強壮(特に肺と腎臓に)などの作用がある。
消化不良、消化管機能の不全、気管支炎、鼓腸、食欲不振、痰の多い肺疾患、
嘔吐、吐き気の際などに効く。
又、加温性の性質より、悪寒の走る時、呼吸器系のトラブルなどの冬の時期に勧められる。

【利用法】
パン菓子、カレー、コーヒー、ピクルス、チョコレートを使った菓子類、
ミルクを使ったデザート、果物の砂糖漬けなどに。
インドで有名なチャイは紅茶・牛乳・香辛料で作られ、
その香辛料に、このカルダモンも入っている。
*コーヒーにカルダモンを加えると、一味違った風味で、私もお気に入りである。
消化に良い感じのする美味しさである。



2013年2月15日金曜日

アニス

Pimpinella anisum   セリ科 アニス属
語源:ラテン語
pimpinella: bipinnula 2回羽状複葉の

中東が発祥地のこのアニス、古代ローマ時代より、地中海沿岸地方で、よく栽培されていた。
1世紀頃、ギリシャの医者であり、植物学者であるディオスコリデスは
アニスは、痛みを緩和し、また、催淫剤としての効果があるとして推奨していた。
中世、ヨーロッパでは、催淫剤として、またドラッグとしても飲まれていた。
アブサンというお酒に含まれるスパイスの一つが、このアニス。


成分:脂質、フラボノイド、葉緑素、樹脂、アネトルを豊富に含むエッセンシャルオイル

【薬効】
食欲促進、消化促進、抗炎症、抗細菌、整腸作用、心臓を強くする効果がある。
消化不良、吞気症、痙攣、嘔吐、吐き気などの際に。

*種から採れるエッセンシャルオイルは有害。
使用には医師またはアロマセラピストの元で。
また種子・粉になったものを利用する場合でも、過剰摂取は避ける。
神経障害を引き起こす事がある。


【利用法】 種子
(料理)多くの菓子類に利用され、ケーキ、パン、ビスケットなどに家庭で簡単に利用できる。

*フランスでは、パン・ド・エピスという菓子に欠かせないのが、このアニスのスパイス。
クリスマスの時期には、欠かせない菓子の一つである。

パン・ド・エピス (20x20cmの容器に対する分量)
小麦粉         250g
ハチミツ        150g 
砂糖           30g(お好みで50gに、もう少し多くしても)
ラム酒           5cl(お好みで、コニャックや他のお酒でも)
豆乳            少量(牛乳でも)
卵             1ヶ
フルーツコンフィ    50g(砂糖漬け果物の事。チェリーやアンジェリカ、お好みの果物で)
オレンジの皮      少量(フルーツコンフィがない時は、オレンジの皮を多めにしても良い)
ベ-キングパウダー    ティースプーン半分  
⋆アニスのスパイス(粉)   ティースプーン1杯       
⋆シナモンのスパイス(粉)    同上
⋆ジンジャーのスパイス(粉) ティースプーン半分
(⋆のスパイスは、パン・ド・エピスというスパイスを代用しても良い。
その場合はティースプーン3~4杯)

1:ボールに振った小麦粉と砂糖、スパイス類を混ぜる
2:コンフィを小さく角切りにし、1に混ぜる
3:ハチミツを湯煎で溶かし、ボールに加える
4:卵を加え良く混ぜ、アルコールを混ぜる
5:細く、小さく切ったオレンジの皮を加える
6:生地が柔らかくなる位に少しずつ豆乳を加える(硬さはお好み)
7:容器にクッキングシートを敷き、そこに生地を入れる
8:180℃に予熱したオーブンで30分位♪



2013年2月1日金曜日

ディル (イノンド)

Anethum graveolens L.  セリ科 イノンド属
語源:ギリシャ語
Anethum: anethon フェンネル、灼ける(種は刺激的な味がすることから)
graveolens: 強い香り


今年は、少しスパイスについて。
その初めとして、ディル。その花言葉は、『幸運』。

中世ヨーロッパでは、魔除けのハーブとして使われ、
又、運がよくなるとして身につけていたと言う。
ディルを浸したワインは、”愛の媚薬”として飲まれていた。
17・18世紀には、教会の種(ミーティング・シード)と呼ばれ、
長い礼拝の間、この種を噛み、空腹や退屈をしのいでいたと言う。
種には、タンニン、カルシウム、リン、ミネラル、ビタミンCなどが豊富に含まれている。


【薬効】
食欲増進・消化促進・健胃・整腸・鎮静・鎮痙などの作用がある。
消化不良や吞気症、鼓腸、頭痛、また嘔吐の際などに。
胃を優しく鎮め、精神も落ちつかせる。
又、母乳促進の効果もある。

【利用法】
(お茶)1Lの水に、50gの種。
1日に3杯から、母乳を促進する効果がある。
*私は、母乳を上げる際、よくフェンネル(種)やリンデン(花)のお茶を飲用していた。
母乳を上げる前に、こうしたお茶を飲んで、準備していた。
ただ、ディルにも、そういう効果があるとは・・・知らなかった!


(料理)ピクルスやお酢・オイルなどに浸けこんで。
すり潰した種は、スープや魚料理に。

(口臭)種をそのまま噛むと、息が爽やかに。

(しゃっくり)種をガーゼに包み、その香りを嗅ぐ。

(美容)潰した種をお風呂に。心身をリラックスさせ、爪を強くする。

(園芸)レタスの間に植えると、防虫効果になる。
キャベツ・キュウリ・トウモロコシと混植すると、植物が丈夫に育つ。